トーマダー5号の取材のため、カンダール州南部のコットム郡へ行ってきた。
コットム郡のバサック川沿いにあるコンポンソンブオ寺院裏にいた子ども達に話を聞いていたときのこと。子ども達の問いに対し、こちらが日本人だと告げると名前を聞かれた。
「まこと? 日本人の名前は呼びにくいんだね」
カンボジア人にとっては確かにそうかもしれない。でも、それはこちらにとっても同じことで、ある程度慣れるまで日本人にとってカンボジア人(に限った話ではないが)の名前は覚えにくく呼びにくいだろう。相手は9歳の子どもだが、そこを敢えて突っ込んでみた。
「えー、そんなことないよ。カンボジア人とイギリス人の名前は呼びやすいんだよ。タイ人と日本人のは呼びにくいけどね」
どうやらその子は英語を勉強しているようで、イギリス人(と彼女は言うが本当にイギリス人かどうかは不明)の名前にはある程度触れる機会があるらしい。ある国の国民の名前といってもさまざまだから、一概にどうとはいえないはずだが、まあ、相手は幼い子どもだ。それにしても、タイ人の名前は呼びにくいのに、イギリス人(?)の名前はそうではないというのは意外だった。単にその子が知っているイギリス人と思われる人の名前が短くて覚えやすいとか、そういう理由かもしれない。
話を戻そう。今度は女の子の隣にいた男の子が口を開いた。
「おじさん、カンボジアの名前は何ていうの?」
質問の意図がよくわからないのだが、どうやらこの子は自分の目の前にいる日本人にもカンボジア名があると思っているらしい。確かに自分にはあるカンボジア人につけてもらったカンボジア名があることはあるが、この子にそんな話はしていないし、大半の日本人はカンボジア名なんて持っていない。
「カンボジアの名前なんてないよ。君だって日本の名前なんて持ってないでしょ? それと同じだよ」
少年はなるほどという表情を浮かべたあと、こう続けた。
「じゃあ、タイの名前は?」




