薔薇 現在の閲覧者数: トーマダー 200804

トーマダー

「トーマダー」とはカンボジア語で「ふつうの、ありふれた」を意味することばです。「ふつう」で「ありふれた」カンボジアを通して、今まで語られることのなかったこの国の多様な表情を伝えていきたいと思います。

■魚ばかり撮ってないで独身の若い女の子の写真も撮りなさいよ!

トレイトゥッ

▲トレイトゥッと呼ばれる魚(コンポントム州の州都コンポントムの市場にて撮影)

コンポントム州のプサーチャッ(オールドマーケット)の魚売場にて、商品の魚を撮影させてもらっていたときのこと。10代と思われる若い女の売り子さんにトレイトゥッという長さ20センチくらいの魚の写真を撮ってもいいか、許可を求めたところ、「撮るならお金頂戴ね」と言われた。
以下、そのときのやりとり。
「何? お金取るの? いくら?」
「1000リエル(約25円)」
「えー、ずいぶん取るね。それじゃあいいや、撮らないから」
1000リエルが払えないわけではないが、別に金を払って撮るようなものでもない。言ってみれば単なる趣味の写真だからだ。
「冗談よ、撮っていきなさいよ。お金はいらないから」

撮影許可が下りたので、トレイトゥッの写真を撮っていると、若い売り子さんのそばにいた中年の女性が声をかけてきた。
「魚ばっかり撮ってないで、独身の若い女の子(売り子さんのこと)の写真も撮っていきなさいよ!」

■書き手の意見がない

先日、ある人に「トーマダー」についての意見をいただいた。感想や意見が直接自分のところへ届くことはまれなので、その意味で大変貴重だ。その人の意見はこうだった。

トーマダーの記事には書き手の意見がほとんどない、長く読んでもらいたいのなら、もう少し書き手の意見や考えが感じられるような記事にしたほうがもっとおもしろいと思う。

「トーマダー」の文章はある考えのもと、意図的に自分の意見や主張などを盛り込まないようにして書いているため、「記事内に意見がない」というのはまさにその通り。こちらとしては制作意図と合致しているのだが、そこに「トーマダー」のマイナス点があるという指摘を受けたのは初めてだった。
このブログで綴っている文章もなるべく意見や主張を書かないようにしている。そのせいで、書きながら自分の文章は読む人に平坦な印象を与えるかもしれないなと考えることがある。特に他人のブログの文章と比べてみたときにはっきり感じる。それを回避するため、意見や考えを綴ってみないかという誘惑に駆られることがある。

とはいえ、あのちっぽけな冊子をやっている意味と自分の位置を改めて見直すと、いつも、やはり今のままでいいんだろうなという結論に達する。いいんだよなあ……。

■コンポントムの市場(魚売場)

コンポントム市場

▲市場の魚売場(コンポントム州の州都コンポントムにて撮影)

写真手前右は、淡水魚のすり身にネギや各種調味料を混ぜたもの。魚のすり身はカンボジア語でプロヘットトレイといい、これを使ってつみれのような団子やさつま揚げのような練り物を作る。奥の女性がさばいているのはトレイリエルと呼ばれる小魚で、成魚の大きさは成人男子の中指強。写真のトレイリエルはコンポントム州を流れるサエン川(セン川)で獲れたもの。焼いて食べたり、ソムロームチューという酸っぱいスープの具にしたりして食べる。漁獲量が多くて値段が安いため、カンボジアの台所では馴染みのある魚だ。ただし、最近漁獲量が減って来ているため、値段は高くなってきている。このトレイリエルは、カンボジアの基本調味料のひとつであるプロホック(淡水魚を塩漬けにして発酵させたもの)の原料にもなる。
「日本にもトレイリエルはいるのかい?」
と売り子の女性に聞かれた。