カンポート州の州都カンポートは、カンボジアのなかでもフランス植民地時代の建造物が多く残る地域として知られている。相談した結果、のんびりと町中を歩きながら、植民地時代の遺産を訪ね歩き、町並みを写真で記録することにした。

▲州都カンポートに建つ住宅
ぐるぐると一通り歩き回り、それじゃあ今度は市場へ行ってみよう、という話にまとまったときのこと。ちょうど市場の方向から年老いた女性を乗せたバイクがやって来た。運転しているのは中年の男性で、見たところモトドップ(バイクタクシー)のよう。なんとなく視界に入ったそのバイクを目で追っていると、未舗装の道路が交差するところでバスンという小さな音とともにバイクは停止した。
「ガソリンがなくなっちゃったよ。はっはっは!」
真っ青な空のもとで運転手の陽気な声が響く。ガス欠ではっはっは! 現実的には難しい面もあるが、ガソリンが切れてもはっはっは! と軽く笑い飛ばせるくらいの精神的なゆとりを常に持ち続けていたいと思った。
「ガソリンがなくなっちゃったよ。はっはっは!」
さりげなくもう一度、唱えてみる。たいていのことは許せそうな気がしてくる。




