薔薇 現在の閲覧者数: トーマダー カンボジアフォトスケッチ

トーマダー

「トーマダー」とはカンボジア語で「ふつうの、ありふれた」を意味することばです。「ふつう」で「ありふれた」カンボジアを通して、今まで語られることのなかったこの国の多様な表情を伝えていきたいと思います。

■お菓子づくり

コンポントムお菓子づくり
▲コンポントム州の農村でお菓子づくりをする女性。

コンポントム州のある農村で、土地の神ネアックターに捧げる祭りを見に行ったときのこと。祭りが行われる村の各家庭では、ネアックターに供えるためのヌムが作られていた。

仏教研究所発行のクメール語辞典(カンボジアの国語辞典)の定義によると、ヌムというのは粉から作られる食品一般を指す言葉で、例えば米粉から作られる麺のヌム・バンチョック(ハーブたっぷりの香しいスープをかけて食べる、9月3日にアップロードした下の「シソポンのヌムバンチョック売り」を参照)、仏教関係の行事のときによく作られるちまきのような食べ物ヌム・オンソームなど、さまざまなヌムがある。ヌムにはお菓子のように甘いものが多く、また、外来のスナック菓子やケーキなども粉から作られている場合はヌムと呼ぶためか、ヌム=お菓子と訳されることがあるが前述の辞典の定義に照らし合わせると正しいとは言えない。
また、同じく粉から作られるものであっても、ベトナムから伝わった食品の場合はヌムとはいわず、ベトナム語のバンニュ(banh)がそのまま使われるようだ。名称にこのバンニュを冠する食品としては、バンニュ・チャエウ(ベトナムでいうところのバンニュセオ、バインセオ)、バンニュ・カンニュ(やや厚めの餃子の皮のようなものにタレをつけて食べる)、屋台でおなじみの甘味バンニュチャヌア(豆餡入りの白玉団子のようなもの)などがある。

写真の女性は棒と臼のようなものを使い、米を搗いて粉にしている。片手で棒のほぼ中央部を握り、勢いよく上下に動かして米を搗き、粉にする。それにココナツを加えて蒸し菓子を作る。この米を搗く作業は見ていると誰にでもできそうに感じられるのだが、実際にやらせてもらったところ、片手で棒を握って搗くため、棒のバランスをとるのが難しく、棒がふらふらしてしまってなかなか臼の中央を搗けない。写真の女性はさすが手慣れたもので、リズミカルに棒を上下に動かし、見事に米を搗いていた。熟練の技に脱帽である。

■シソポンのヌムバンチョック売り

シソポンのヌムバンチョック売り
▲バンテアイミエンチェイ州スヴァイシソポン郡の長距離バス・タクシー乗り場でヌムバンチョックを売る女性。

ヌムバンチョックというのは、米の粉から作られる麺にソムローと呼ばれるスープをかけて食べる料理で、カンボジアで広く食べられている。麺は農家で作られている場合が多いようで、作り立ての麺はもちもちとした弾力に富んでいる。市場で売られているものはややぼそぼそしていて、ぷつぷつとすぐ切れてしまう。できたてのものと比べるとその食感や風味は雲泥の差だ。ヌムバンチョックの真価は農村でないと味わえないといっても過言ではない。
2008年8月現在、1杯2000リエルから3000リエル(米1キロが2000リエルから4000リエル)程度。もうひとつ、よく知られている麺料理にクイティウがあるが、こちらは中国人が伝えたものだ。
ヌムバンチョックにかけるソムローは数種類あるが、どれも一般に複数種のハーブをすりつぶしてペースト状にしたものにプロホック(淡水魚を塩漬けにして発酵させたもの)を加えている。くせのある食材が好きな人にとってプロホックは親しみやすいかもしれないが、そうでない人にとっては魚臭く感じるかもしれない。なお、ソムローや作り手の好みによってはプロホックの入っていないものもある。
ヌムバンチョックとよく似た料理はカンボジアの隣国であるタイやラオスでも見かけるので、比較してみるとおもしろいと思う。

■中古自転車を運ぶピックアップトラック

自転車を運ぶピックアップ
▲中古自転車を山積みにしたピックアップトラック(撮影:バンテアイミエンチェイ州スヴァイシソポン郡)

バンテアイミエンチェイ州スヴァイシソポン郡の長距離バス・タクシー乗り場にて。中古自転車を山積みにして運ぶピックアップトラック。こうした自転車は中古自転車専門の販売店で販売されており、個人的な観察によると日本製の中古自転車が目立つ。日本製の中古自転車の場合、撤去に関する警告の紙がつけられたままになっているものも少なくない。首都プノンペンにあるヘンリー市場でシハヌークビル港から運ばれてきたという日本製中古自転車の卸し作業を見た際には、「不要自転車 二号棟204 氏名▲×◎  ■■団地自治会」と記された紙や「警告1/14」と書かれた赤いテープの貼られた自転車を確認した。

撤去警告
▲シハヌークビル港から運ばれてきた日本製中古自転車とそのペダル。撤去に関する警告の紙がそのままになっていた(撮影:首都プノンペン、ヘンリー市場)

■カンボジア女性のお手入れセット

美容セット
▲カンボジア女性のお手入れセット(撮影:バンテアイミエンチェイ州スヴァイシソポン郡)

カンボジア北西部のバンテアイミエンチェイ州スヴァイシソポン郡にある長距離バス・タクシー乗り場でプノンペン行きのバスを待っている間に撮影。乗り場には乗客を相手に軽食や飲料、雑貨を売る人の姿もあり、そのうちの一人の女性が売っていたものが写真のセットだ。
アイドルの写真のように見えるものは手鏡(裏側に鏡がついている)で、写真下は爪切り、中右は毛抜き。お手入れに余念のないカンボジア女性を狙った商売だ。


■プレアビヘア遺跡、世界遺産登録

プレアビヘア01
▲プレアビヘア遺跡の世界遺産登録が決まり、歓声を上げる人々(首都プノンペン、セントラルマーケット前)

プレアビヘア02
▲プレアビヘア遺跡の世界遺産登録を祝い、セントラルマーケットの回りを行進する人々(首都プノンペン)


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■上昇し続けるガソリン価格

ガソリン

▲首都プノンペンのガソリンスタンド(撮影:2008年6月5日)

原油高を受けて、カンボジアでもガソリン価格が上昇し続けている。写真が示すとおり、首都プノンペンでは2008年6月5日現在、レギュラー1リットルは5400リエル(約149円、1米ドル=110円=4000リエルとして算出)もする。カンボジアの経済を考えると、ガソリン価格がいかに市民の生活を圧迫しているかがわかる。今日、プノンペン市内のガソリンスタンドを見たら、そこではレギュラー1リットルが5500リエルだった。
ディーゼルの値上がりはガソリン以上に著しい。ついこの前まで1リットルあたり2000リエル代だったのに、今ではおよそ倍の5500リエル。ガソリンスタンドによってはガソリンよりディーゼルのほうが高いほどだ。ある人がこう嘆いていた。
「ディーゼルのほうが安いからディーゼル車を買ったのに、今じゃガソリンより高くなっちゃって困ってるよ」

■コンポントム州子ども公園

子ども公園

▲コンポントム州子ども公園

カンボジア中部、コンポントム州のセン川沿いにあるコンポントム州子ども公園。

■魚ばかり撮ってないで独身の若い女の子の写真も撮りなさいよ!

トレイトゥッ

▲トレイトゥッと呼ばれる魚(コンポントム州の州都コンポントムの市場にて撮影)

コンポントム州のプサーチャッ(オールドマーケット)の魚売場にて、商品の魚を撮影させてもらっていたときのこと。10代と思われる若い女の売り子さんにトレイトゥッという長さ20センチくらいの魚の写真を撮ってもいいか、許可を求めたところ、「撮るならお金頂戴ね」と言われた。
以下、そのときのやりとり。
「何? お金取るの? いくら?」
「1000リエル(約25円)」
「えー、ずいぶん取るね。それじゃあいいや、撮らないから」
1000リエルが払えないわけではないが、別に金を払って撮るようなものでもない。言ってみれば単なる趣味の写真だからだ。
「冗談よ、撮っていきなさいよ。お金はいらないから」

撮影許可が下りたので、トレイトゥッの写真を撮っていると、若い売り子さんのそばにいた中年の女性が声をかけてきた。
「魚ばっかり撮ってないで、独身の若い女の子(売り子さんのこと)の写真も撮っていきなさいよ!」

■火事から自宅を守る

火事から守る

▲枯れ草を焼いた後(シェムリアップ州バルン郡)

とあるテレビ番組の通訳でシェムリアップ州の北、アンロンベンへと続く道にあるバルン郡の集落へ行った。この集落は乾季になると深刻な水不足に見舞われるという。集落の家々は道路沿いに点在するように建っている。
大地は乾ききったように見え、家々の周囲は枯れ草で囲まれている。よく見ると、ところどころ黒く焦げたようになっているところがあり、まだ火のくすぶっているところや勢いよく炎を上げて燃えているところがある。枯れ草を燃やしているのだ。一見すると焼き畑のように見えなくもない。だが、燃えていたり、燃えきって黒く焦げたところはあるものの、焼いた後の土地で耕作しているような場所は見当たらない。
近くにいた女の子に聞いたところ、火事を防ぐためにわざと枯れ草を燃やしているのだという。つい数ヶ月前も、枯れた大地のどこかで発生した火で一件の住宅が焼けてしまったらしい。集落の住民の男性がこう付け加えた。
「1年に1回、枯れた草に火をつけて燃やすんです。燃やしておかないと草地で発生した火で家が燃えてしまうことがあるからです」

■氷が融けるのを防ぐために

氷屋コンポントム

▲コンポントム州、プサーチャッ近くの氷屋

コンポントム州プサーチャッ近く、セン川沿いの氷屋。氷をノコギリで切断したりルモー(バイクの後ろの荷台をつけた乗り物)に乗せて運んだりする際、イネの籾殻をまぶす。
「(まぶしておくと)氷が融けにくくなるんです」
氷屋の男性が教えてくれる。稲作の国ならではの知恵と言えるだろう。

■カンボジアとタイ(3) 川渡しのフェリー、ボート

タイフェリー2

▲チャオプラヤー川のボート(タイ、バンコク)

クマエフェリー2

▲メコン川の川渡し(カンボジア、ネアックルアン)

クマエフェリー1

▲メコン川の川渡し(カンボジア、カンダール州キエンスバイ郡)

■カンボジアとタイ(2) トゥクトゥク +おまけつき

トゥクトゥクタイ

▲トゥクトゥク(タイの首都バンコク)

トゥクトゥククマエ01

▲トゥクトゥク(カンボジアの首都プノンペン、王宮そば)。※1

トゥクトゥククマエ04

▲トゥクトゥク(カンボジアの首都プノンペン、トゥオルスラエン博物館前)

トゥクトゥククマエ03

▲トゥクトゥク(カンボジアの首都プノンペン、ダウムコー市場前)

トゥクトゥククマエ02

▲これもトゥクトゥク?(カンボジアの首都プノンペン、トゥオルトンプーン市場近く)

インド オートリキシャ

▲付録 インドのトゥクトゥク「オートリキシャ」(ケーララ州カサラゴット)

※1:カンボジア人の間ではモトーコンバイ(三輪バイクの意)、コンバイ(三輪の意)、ルモー(バイクの後ろに接続させる荷台のようなものを指す)、ルモーコンバイなどと呼ばれることが多い(と思う)。

■カンボジアとタイ(1) 果物の切り売り

プノンペンの果物売り

▲果物の切り売り(カンボジアの首都プノンペン)

バンコクの果物売り

▲果物の切り売り(タイの首都バンコク)

■キックボクサーと農作業

キックボクサー

▲トレーニング中のキックボクサー(撮影:首都プノンペン)

カンボジアの伝統格闘技ケイラープロダル(キックボクシング)の選手たち。あるキックボクシングのジムには、現在、約20人ほどの練習生が在籍しているが、そのうちの大半は農繁期になると故郷へ帰り、稲の収穫を手伝うという。彼らの出身地はバッタンバン州、バンテアイミエンチェイ州、スバイリエン州などさまざまである。農村からプノンペンへやって来て、キックボクシングの練習に励む若者たちはどんな夢を描きながら日々、水田で、ジムで汗を流しているのだろう。

■ヤシ酒売り

タックトナオトチュー

▲サトウヤシ(オオギヤシ)の樹液を発酵させて作るヤシ酒「タックトナオトチュー」を自転車で運んで売る男性(撮影:コンポンチャーム州メモット郡)

サトウヤシ(オオギヤシ)の樹液を発酵させて作るヤシ酒「タックタナオトチュー」は、価格の安いアルコール飲料としてカンボジア人に親しまれている。値段はコップ一杯(150〜180ミリリットル程度)で数百リエル。写真の男性は1杯200リエル(約5.75円、1米ドル=4000リエル=115円として計算)で売る。ビールは安いものでも330ミリリットルで1500リエルくらいするから、嗜好にもよるがヤシ酒はお金のあまりない人でも手に入れやすいアルコール飲料だと言える。なお、一般的に飲まれているヤシ酒のアルコール度数は高くなく、飲んだ実感からするとビールより低い。3%とか4%くらいだろうか。
写真の男性は、村で作ったヤシ酒を10リットル入りのプラスチック製容器に入れ、自転車で町まで運んで売る。10リットル全部売れると5000リエルの売り上げになるらしい。コップ1杯が200リエルなので計算が合わないが、その理由はコップ売りではない別の売り方(やかん売り)もあるからだろうか。
ヤシ酒を売るのは乾季(11月から5月)のみで、
「よく売れますよ。雨季も樹液は採取できますが、ヤシ酒にするにはおいしくないので売らないんです」
と男性が言う。
すぐそばに立つ屋台で焼き鳥などのつまみを買い、用意された席で飲めるようになっている。オープンエアのもとでヤシ酒を飲むのはなかなか気持ちがいい。

■雨水の利用

雨水

▲雨樋を通った雨水がビニルの筒を伝って水瓶にたまるようになっている(撮影:バッタンバン州バノン郡)

カンボジアの農村部には水道は通っていないため、炊事や洗濯、水浴び、飲料用などとして広く一般的に雨水が利用されている。飲料用に用いる場合、殺菌のために一度沸騰させて飲む人もいれば、水瓶に溜まった雨水をそのまま飲む人もいる。写真の家では、沸騰させずそのまま飲んでいた。

■唐辛子を日に干す

唐辛子を干す

▲道路脇で唐辛子を日に干しているところ(バッタンバン州バノン郡)

家のすぐ前を通る道の脇で唐辛子を干している家があった。家主に聞くと、生の唐辛子の場合、売値は1キロ2000リエル(約55円)程度だが、干すと1キロ8000リエルから1万リエルくらいで売れるようになるという。また、生のときと比べて長持ちするといった利点もある。晴れていれば3日ほどで干し唐辛子になる。

撮影:2007年11月13日

■虫除けにレモングラス

レモングラス

▲蛍光灯と一緒に吊るされたレモングラス(バッタンバン州バノン郡の農村にて)

カンボジアの農村部には、ほとんど電気は通っていないに等しいため、日が傾き始めると、周囲はすぐ暗闇に包まれる。
電気の代わりに各家庭で大活躍しているのが自動車のバッテリーだ。バッテリーに蛍光灯のコードをつなぎ、庭に植えてある木や高床住居の床下などに蛍光灯を吊るしておく。明るさはさほどではないが、暗闇をしのぐには十分なのだろう。
さて、農村の暮らしは自然との距離が近いため、灯りをともすとすぐに無数の虫が押し寄せてくる。そのなかには、デング熱やマラリアを媒介する蚊も含まれている。デング熱は今年、カンボジア国内で流行したと言われており、また、マラリアはタイやベトナムと国境を接する地域では依然として大きな脅威だ。
都市部は別だが、カンボジアの地方では日本のように簡単に虫除けスプレーが手に入らない地域も多い。そんなときに役立つのが、日常的な食材のひとつとして利用されているレモングラスだ。レモングラスには蚊を遠ざける成分が含まれており、カンボジアでは昔から虫除けの薬代わりに使われて来た。レモングラスの成長は早いので、植えておけばすぐに増える。ありがたい植物だ。

■カンボジアの盂蘭盆

盂蘭盆

カンボジアの盂蘭盆のようす。首都プノンペンのトゥオルトンプーン寺にて。

■チャームの墓

チャームの墓

シェムリアップ州にあるチャームの村の墓地。チャームはかつてベトナム中部に興ったチャンパ王国の住民の末裔で、現在、カンボジアで暮らすチャームの人々はイスラム教を信仰している。村にはモスク(イスラム教の礼拝所)が建設され、その裏に立つ学校では、クルアーン(コーラン)の教えを学ぶ子ども達の声が響いていた。少女は頭にスカーフを巻き、少年たちはイスラム世界でよく見る帽子をかぶっている。また、墓標はクメール文字とともにアラビア文字でも記されている。